昨日7月6日、将棋の順位戦B級2組、橋本崇載(たかのり)八段 vs 藤井聡太七段の対局が行われた。
結果は藤井七段の圧勝。橋本八段は何もさせてもらえなかった。
野球でいえばノーヒットノーランを喰らったようなものである。
橋本八段は対局後のインタビューで、「将棋のスピード、積んでるエンジンが違う」「こっちがトボトボ歩いている間に、一瞬で抜き去られてしまった」と白旗を揚げた。
橋本八段は元A級棋士
ちなみに橋本八段はただの将棋が強いトッポいお兄さんではない。
順位戦の最高クラスA級に在籍したこともある強豪である。
A級は天才たちがひしめく将棋界において、トップ10が在籍する天上界であり、そこに在籍していたということは、「ちょっと前までニューヨーク・ヤンキースでレギュラー張ってました!」というバリバリのメジャーリーガーと言って良い。
そのバリバリのメジャーリーガーを「同じルールで戦っているとは思えない」強さでコテンパンにしてしまったのだ。
藤井七段の強さは尋常なものではない。
日本中の優秀な頭脳が集まる将棋界
そもそも棋士であるというだけで、その人は並外れた頭脳を持っている。
有名な話だが、米長邦雄永世棋聖には3人の兄がいて、その3人共東大卒という素晴らしい経歴を持っていた。
しかし米長永世棋聖は「兄貴たちは頭が悪くて棋士になれなかった。仕方ないから東大に行った」と言い放ったという。
また日本に将棋がなければ、あと10人以上はノーベル賞やフィールズ賞(数学界のノーベル賞)の受賞者がいただろうと言われるほどである。
かように将棋界は天才的頭脳を持った人々の集まりなのである。
その人たちと戦って、8割以上、今年度に至っては9割以上(まだ1回しか負けていない!)の成績を残すのだから、「藤井聡太七段は神の領域に踏み込んだ」といわれるのも当然と言える。
人知を超えた怪物
ちなみに藤井七段は先日、永瀬拓矢二冠(現在のヤンキースの5番打者に相当)と渡辺明三冠(現在のヤンキースの4番打者に相当)にそれぞれ2連勝している。
それも本人たちがなぜ負けたか分らないほど圧倒的な差をつけての勝利である。
これを見て私は、昭和の怪物「江川卓」伝説を思い出した。
元広島で監督もされた達川光男氏は高校時代、名門広島商業で甲子園優勝まで果たしている。
その達川氏が同い年である江川卓のピッチングを見て、「こりゃとてもじゃないが打てん」と恐怖まで感じたという。
実際広島商業を始め江川率いる作新学院と対戦するチームは、江川対策として「マウンドの3m前」からボールを投げさせ、バッティング練習をさせたという逸話が残っている。
また先日Youtubeで元阪神の4番打者、ミスタータイガース掛布氏が「本気になった江川の球なんてね、かすりもしないんだよ、まじで」と証言していた。
一流のプレーヤーたちが必死になっても太刀打ちできない才能を持つ者がいる。
藤井聡太七段は今、その領域に達している可能性が非常に高い。
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